おすすめの本や本買取につてつづります。

私は本が好きです。

このブログではおすすめの本や、本買取の経験などを書いていこうと思っています。

本を存分に読んだら業者に売ってお金に換えれば部屋もすっきりするし、また新しい本を買う資金にもなります。

さてさて今日のおすすめの本は『トム・ジョウンズ』です。

この『トム・ジョウンズ』は全4冊、全18巻にわたる長編で、ある日オールワージ氏という裕福な名望家の邸宅の寝室で見つかった捨児トム・ジョウンズが、様々な紆余曲折を経て幸福をつかむまでのいきさつが、非常にユーモラス、かつドラマチックに展開されています。

最終的には、物語はまさに「醜いアヒルの子」的なハッピーエンドを迎えるわけですが、この作品の筋自体は、読者を楽しませることを目的とした、良くも悪くも「創作」の趣きが強い作品になっています。

個人的には、最初からトムが最終的に幸福を掴むであろうことが容易に予想されてしまったので、安心しつつも、どこか「読まされている」感を強く覚えました。

但し、物語中で作者によって明らかにされている、この物語の趣旨には大いに感銘を受けました。

その趣旨は、作者の言葉を借りるならば、あとがきでも引用されている、次の言葉から十二分に読み取れます。

「自分は絶対の善人だの絶対の悪人だのという、この世にありもしない怪物などは書かない。そういうものがご所望なら、そういう書物はこの世にいくらでもあるからそれをご覧になるが良い」

つまり、この著作の冒頭で、「人間性」を書くと宣言したフィールディングは、清濁あわせもつありのままの人間の姿を描くことを本書の究極的な目的としていたようです。

なるほど、この本の主人公は、率直で正義感に富み、美貌で勇敢という長所を持ちつつも、女にはだらしがなく、短気で暴力的という欠点をもあわせもっており、それまで主流であった理性に凝り固まった主人公達とは完全に趣きを異にします。

また高潔で温情に富むオールワージ氏も、その甥の狡猾な策略に意図も簡単にはまってしまいますし、ヒロイン役のソファイアも、「少しおでこが狭い」とか、あわてやすいといった人間臭い面を垣間見せてくれています。

但し、あとがきでも指摘されている通り、ブライフィル君や、ベラストン夫人が完全に近い悪人として描かれてしまっているなど、この人間のありのままを描写するという作者の意図がどこまで成功したかは議論の余地の残るところですが、本書におけるこの試みが、その後のリアリズム文学が誕生する、理論的な下地を築いたことは、まず間違いないと思います。