怪奇現象やグルメを知る事が出来る小説蘆屋家の崩壊

小説蘆屋家の崩壊は短編集で猿渡と伯爵のキャラクターが登場します。

猿渡や伯爵の周りで霊的な不思議な現象が次々と起こっていくという設定の短編集ですが、話が進行していくにつれて、猿渡や伯爵のキャラクター性が出てくるのが特徴的だと思いました。また、途中でグルメだけでなく、人形浄瑠璃やヌートリアなどの動物、辞書に載ってる漢字や作家についての蘊蓄の情報がさりげなく語られていて、奥が深いと思いました。

そして、グルメについて語っていく場面が出てきます。特に豆腐や蟹についてのグルメ情報についての記述が多く、ユーモラスな感じがします。

この短編集の最後のエピソードである水牛群は、特に感動的な話です。

理不尽な上司からの圧力に耐え続ける猿渡の苦悩が綿密に語られて、酒浸りの日々になっていきます。この酒を飲んだ時の描写が徹底して書かれているので、猿渡というキャラクターが苦悩している様子がかなり伝わってきます。そして、猿渡はバレンタインの日に泊まると幸せになれると言われるグランドホテルに泊まる事になります。このグランドホテルの設定も少し変わっていて都市伝説のような感じがするのが印象的です。

そして、グランドホテルで猿渡は伯爵と再会して、ホテルでグルメを堪能していくと、学生時代に買い食いした時を思い出す場面が情緒豊かに文章で書かれていて、感動的な気分になりました。

この小説は全編を通してユーモラスな感じがするので、少しホラー小説を読むのは気が引けるという読書通の人におススメ出来る内容の小説だと思いました。